萬田院長のアメリカ萬遊記T
 10月下旬私は初めて当院を8日間休みアメリカへ行って参りました。成田からアラスカの上空へ行き、まずイリノイ州のシカゴで入国審査を受けて、その後ミネソタ州のドメスティックのロチェスター行きの飛行機に2時間乗りました。 非常に寒いところですけれど、メイヨクリニックがあるロチェスターという街です。 私が旅行前に地図を見ましたらアメリカの中にロチェスターという街が3つあります。 その他にオーストラリアにもロチェスターという街があります。 全世界に4つの同じ名前の街があります。その中のミネソタ州のロチェスターにいって参りました。 近畿大学医学部教授の青木教授、昭和大学医学部の助教授の辻先生、その他谷山先生,来年「糖尿病学の進歩」をやられる富山医科薬科大学の山崎先生、当院でも4年前に見学させていただいた陣内病院の陣内先生です。この方々と一緒に行ってきました。 何もないところで、この人口7万の都市になぜインターナショナルエアポートだということを聞きましたところ、ヨルダンのフセイン国王が直接自家用機でやってくるという、 その他に全世界の患者が直接この飛行場にやってくるためということです。 たまたまかぼちゃのお祭りハロウィーンで飛行場の中はかぼちゃをえぐった気持ち悪いかぼちゃと飛行場の係員がとがった帽子をかぶって真っ黒い装束でいまして、非常にラフなんだということを聞きました。メイヨクリニックというのは一軒のクリニックだけではありません。ロチェスター市内、いろいろな病院、たくさんビルディングがありまして、これがすべて、地下街で、またはスカイウェイで繋がっております。なぜならば冬はマイナス30℃まで下がるということで、とても外には出られないそうです。館内は全て禁煙ですので、たばこを吸うのは外でしか吸えず大変寒いそうです。メイヨビルディングといって、メインのビルディング。その他にヒルトンビルディング、メソジストホスピタルビルディング、セントメリー病院などいろいろとたくさんの病院があって、それを総称してロチェスターメイヨクリニックということです。案内の方はメイヨクリニックはアメリカで一番very famousでvery old でvery big な病院であると自慢しておりました。
 ことの起こりはイギリスのW.Wメイヨさんが1819年に生まれて移民となりアメリカのどこか東海岸で降りたんでしょう。その後西へ向かう途中医師をやったり、獣医をしたり船員をしたり新聞配達をしたり新聞編集者をやって西へ西へと進んできました。 1861年W.Jメイヨが誕生。ときは南北戦争、ロチェスターへW.Wメイヨ一家が到着しました。なぜロチェスターにメイヨクリニックをひらいたかというとトルネードの被害のために何万人という怪我人、死者が出た時にセントフランシス教会のシスターたちがぜひここに診療所をつくってくれないかと、ことの起こりは竜巻きだったと聞かされました。 そして、次男のC.Hメイヨがノースウエスト大学を卒業して診療所に入ると、今のようにいろいろなドクターが集まってメイヨクリニックをひらけるようになったのが1892年。 いろんなスペシャリストが集まった患者のためになるクリニックを開いた。 このプリンシパルは今でもメイヨクリニックのホールのところに記念碑として残っているとのことです。 ミーティングルームに入り、朝7時半からはじまりして勉強勉強でゴーマン先生、リッツア先生、チィマーマン先生。最後にスミス先生というのが実際に臨牀をやっている先生で糖尿病教室まで連れていかれました。Dr.萬田の糖尿病センターではどんなことをやっているのか、栄養士や看護婦CDEは実際どうなっているかといろいろなことを聞かれました。 リッツアという先生は2年後のアメリカ糖尿病学会の会長をやられるchief division このメディカルスクールの教授だそうです。
 メイヨの組織図ですけれども、メイヨと一言でいってもいろんな病院が多数集まってアメリカ全土にメイヨクリニックの関連病院があり、理事会というのがあって、エグゼクティブコミティがあります。 全国に分かれています。その中のひとつにロチェスターがあると。その他にジャクソンビル、スコッチデイルという土地に病院があり、リジョナルクリニック、地域の診療所があります。ロチェスターにはメディカルセンターとリジョナルクリニックと大きな病院でメソジストホスピタルとセントメリーホスピタルというのがあります。メイヨで働いている人や患者がどのくらいいるかというと、これはロチェスターにある3つで従業員が2万5000人、全世界からの研修医が2000人。年間の予算が23億ドル。その他にリジョナルクリニックで医師が375名,従業員6000名がロチェスターの中でこれだけいいます。それぞれの病院のベッド数ですが、メソディスト病院が794、セントメリー病院が1157、診療所での ベッドを持っている組織で817、その他にロチェスター以外にジャクソンビル、スコッチデイルの病院、これだけの関連の施設があるということでした。
 ロチェスターのメイヨクリニックの全部のスタッフとしては1968名、リサーチエンドフェロー335名、学生、これ医学部も定員40名の医学部があります。メイヨクリニックのロゴマークは3つの輪がありメイヨクリニックの大事なシンボルであります。中心にエデュケーションがあり、左側にはリサーチ、右側にはプラクティス。教育と研究と臨牀あってメイヨクリニックのロゴマークということです。 メイヨクリニックでもアメリカ全土で先駆けて電子カルテを導入したということです。 電子カルテで全世界にネットワークをつくりたいということでアメリカ全土のメイヨクリニックのいろいろなところで、特に糖尿病で電子カルテを応用していて今までに2000人の患者を登録しています。 スタッフ構成としてはドクターとCED5名と栄養士で糖尿病外来をやっています。 電子カルテ、エレクトロニックメデイカルシステムをやり始めた1982年からの患者を登録しているということです。ここでは、現在まで糖尿病教室に2000人受講していて1週間1クールで1クール6名の教室。 家族の参加もすすめているそうです。 インスリン療法は強化インスリン療法にかえています。コンベンショナルなインスリン療法ではなく、強化インスリン療法にかえてしまうそうです。 アメリカではもうリスプロが発売されています。今年当院で治験が終わったばかりの超即効型のインスリンはもう既に発売されています。全世界でまだ日本だけ発売されていない。東南アジアでももう発売されています。日本の現状としてまだリスプロを使えないというのは非常に困った問題だということです。リスプロ3回打,寝る前のウルトラレンテインスリンの併用を習熟してもらうんだということをいってました。 外来診察部門は7つ部屋あって、両面におなじ部屋があります。14が4方向ですから、56部屋外来の部屋があります。そして、患者はすぐここの部屋に入り、そしてCDE、栄養士、薬剤師が直接この部屋に入ってドクターがくる前にお話を聞きます。部屋の中をみますと、患者はソファーに座りドクターは椅子に座ってお話しを聞きます、ドクターがくる前にCDEたちがコンピュータに登録するので、ドクターがきたときにはマウスを動かしてセレクトして話すだけということです。 患者専用の図書館がありエデュケーションセンターといっていろんな資料、その他に資料を取り寄せるこもできます。相談にものってもらえるし、コピーもできます。 メイヨクリニックはアメリカ全土から1日外来4000人受診され、ドクターは2000人いらっしゃる。 入院患者は全てのベッドをあわせて2000ベッド。平均在院日数は3日間だそうです。
 メイヨクリニックの周りには多くのホテルやモーテルがあり、アパートメントなど長期滞在できるところもたくさんありました。最初3日間だけ入院してあとは強制的に退院させられます。 全世界50カ国の外国からも患者がきているとの事でした。4000人いらっしゃる外来患者のうち8割はエマージェンシー、あとの2割は継続的にみている患者だそうです。
 はじめてアメリカ本土に行ってまいりましたけれども,文化の違い,考え方の違いを感じました。
それから糖尿病に関する考え方,要するにエデュケーションは一番大事なんだということはメイヨでも当院でも同じでありました。DCCTの発表以来,コンベンショナル治療はなるべく頻回注射療法に変えなければならないということを,それはメイヨクリニックだけにかぎらず患者に動機づけすること,エデュケーションをしていくのが大事だと思います。 新しい電子カルテのシステムもこれから糖尿病のネットワークをつくっていき、全世界的なネットワークができると思います.ぜひとも日本でも電子カルテを統計学的なもの,それからコンプリケーションのデータ,その他いろいろとやっていこうじゃないかということで,当院もぜひ近い将来電子カルテのシステムを導入したいと思います。
 また,細かく詳しい電子カルテのシステムについて皆様方と勉強していきたいと思います。 いろいろな情報,ご指導をお待ちしております。
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