ハワイ研修報告 

 

日程: 2008年4月14日(月)〜19日(土)

研修先:Honolulu, Hawaii

ハワイ糖尿病療養指導士協会 クイーンズメディカルセンター ハワイメディカルセンター 他

研修参加職員:  医師-秋元祐子 看護師-佐藤美貴 星川智恵子 守屋友絵

 

今回私たち4人はハワイ州のホノルルで46日の研修を受けました。

ハワイ糖尿病療養指導士協会がコーディネーターとなり、
CDE(糖尿病療養指導士)による講義、病院見学等の充実した時間を過ごしました。

 

まず、ハワイの歴史と人種について簡単に説明します。
ハワイは1776年、キャプテンクックによって発見されたのをきっかけに、様々な国から移住が始まり、『太平洋の人種のるつぼ』と呼ばれています
ハワイ日系人の多くは、1800年代にサトウキビ農園での労働力として移住した人たちの子孫で、1896年には一番人口の多い人種となりました。
もともとハワイには、ハワイアンと呼ばれるポリネシア系の人々が住んでいましたが、現在は全人口の21%にとどまり、白人・日系人の方が多くなっています。

 

ハワイの人種別の糖尿病有病率です。
アメリカではマイノリティーであるハワイアン、フィリピン人、日系人の糖尿病有病率が高値となっており、白人の2倍以上です。
その理由ですが、生活習慣が欧米化したこと、インスリン分泌が低いこと、さらに ハワイの先住民やフィリピン人の間では、伝統的に「太っていることが美しい」と考えられており、そのような文化の違いも有病率が高い一つの原因と考えられています。

 

 

ハワイに到着しました。現地時間で朝7時、日本時間で夜中の2時です。
ハワイに行かれた方はご存知かもしれませんが、みんなの手の格好はハワイの挨拶です。

 

ハワイ糖尿病療養指導士協会でアメリカの糖尿病やCDEの状況について講義を受けました。
左奥が今回の研修で中心となって案内して下さったDr. Jane K Kadohiroです。

 

ワイキキのコミュニティヘルスセンターです。
日本の皆保険制度とは異なり、アメリカは公的保険でカバーされる高齢者、身体障害者、低所得者以外の方々は民間保険に加入します。
このため、低所得の基準は満たさず、民間保険の医療費を支払う余裕はないという無保険の方が問題になっています。
この無保険の方々が治療を受けられる医療施設はハワイに数箇所しかありません。その1つがこのセンターです。支払能力が全く無い人たちでも治療してくれます。

 

入院施設はありませんが、必要ならば車で出張し治療や検査を行っています。
企業からの寄付を募って経費を賄い、資金が余った場合でも職員の賃金にはまわさず、全て患者のために充てるそうです。
賃金は多少 少なくても、純粋に患者を助けられることに満足感があると、ヘルスセンターの看護師さんが熱く語ってくれました。
ここでは糖尿病のプログラムとして、集団指導を行っています。
日々の食事や運動療法の改善には直接は繋がらなくても、糖尿病についての思いや悩みを患者同士が共有することによるプラスの効果が大きいそうです。
 

こちらはクイーンズメディカルセンターという病院を見学した際の1枚です。
ハワイ州最大の私立病院で、病床数は急性期病床で505床あります。
糖尿病に対しても昏睡、高血糖等の急性期に対応しているとのことでした。
実際に患者さんに指導を指導しているCDEの方々からお話を聞くことができました。
こちらの病院はAADE/ADA承認の糖尿病教育プログラムを実践しています。

ハワイメディカルセンター内にある透析センターも見学しました。
ハワイ・オアフ島でも透析を必要とされる方は年々増加しているとのことでした。
このセンターには20ベッドあり 、1日3クールの透析を行っていました。
 

 

 

Jhon A Burns 医科大学という公立の大学です。
こちらでは日系の医師、Richard ArakakiというDrに案内して頂きました。
ご存知の方も多いかと思いますが、「糖尿病予防プログラム」という生活習慣改善プログラムがアメリカで実施されました。
ホノルルでこのプログラムを実施したのがDr Arakaki です。
ここでは、 「糖尿病予防プログラム」についての詳細を説明して頂きました。
耐糖能障害から糖尿病への累積発症率が、対照群と比較してメトホルミン群では31%、生活習慣介入群では58%も減少したという結果がでています。

 

ホノルル市カハラにある薬局、City Pharmacy でも、糖尿病患者とその家族を対象に集団指導を行っていました。
講師は薬剤師でCDEの資格を持っているケビンさんです。
スライドの下のカウンターに腰掛けて足を組んで話したり、患者さんに話しかけたりと、講義スタイルはとてもフレンドリー、患者さん
もリラックスした雰囲気で耳を傾けていました。

 

 

 

この写真は「Willows」というレストランです。ここでディナーセッションを行いました。
ハワイ料理のブッフェ形式で、研修でお世話になったハワイ糖尿病療養指導士協会の方々とテーブルを囲んで会食しました
当院の看護師も日本の糖尿病の現状、CDEの現場等について発表しました。もちろん英語で。

 

あっという間に帰国の日となりました。
今回の研修では数多くの学ぶべき点がありました。
ハワイで糖尿病の指導にあたっている方の前向きさ、情熱、いつも笑顔を絶やさないスタッフ達。
これから私たちもこの経験を生かし、糖尿病と向き合っている方に寄り添い、力になれたら、と思います。

 

 

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